擬人化




日本では「全ての物に魂が宿っている」という考えの下、古来より様々な表現で擬人化を行っていた事が

古い文献などで確認されているようです 


この日記をご覧になっている方々はほとんどがコスで知り合った方ばかりなのでそういう意味では

我々が知り合ったのもこの日本の文化のおかげともいうべき物なのであります


ところで最近めっきり寒くなってきましたよね

いつもは外で昼食を取るわたくしも最近は外へ出たくないので仕事場中にある自販で買うようにしてます

これが結構便利なモノでしてカップ麺からおにぎり、お菓子、サンドイッチなど中々の品揃えなんですよ


ただこの自販機結構年代ものなため商品を取ってくるクレーンが元の場所に戻るまで一分以上掛かるんです

すなわち一つの商品を買ってから次の商品を買うまでに一分間待たなくては行けないという訳ですね


しかし不思議なもので毎日この自販を使っているとなんだかこの動きすらも愛しく見えてくるものです

まさに僕の萌え文化ここに極まれりって感じですよね


ところでこの自販機を使うにあたっては僕の宿敵とも言うべきにっくきヤツがおります

相手の体格から彼女の事を頭の中で横綱と呼んでいるんですが、そいつが手ごわいったらありゃしない、

僕なんか何度可愛がりを受けたかもわからないほどのモーニング・ブルードラゴンっぷりなんです


先日など彼女より少し先に自販に並んでしまったおかげで買い物をしている間つねに鋭い眼光で睨まれるわ、

手に持った午後の紅茶をブンブン振り回されるわ、なぜか体を密着されるわでえらい目にあいました


その時の彼女の睨みっぷりったら物凄いものでして、なんか千秋楽を1敗で迎えてこの結びの一番に勝てば

横綱の仲間入り!俺も千代の富士に並ぶんですバイ!ちゃんこ鍋ごっちゃんです!みたいな感じなんですよ


そんな睨み方をされた僕はまさに蛇に睨まれたカエル、ヤンキーに睨まれたオタク状態になってしまいまして、

ブルブルと震える手を必死に抑えながら140円のスープ春雨を買う羽目になってしまいました


先ほども申しました通りこのクレーンは動きが遅いですからそこから別の商品を買うとなるとさらに1分間

この視線に耐えなければいけないという想定外の自体となり、小心者の僕にそんな空気が耐えられる訳もなく

結局その日は昼飯をスープ春雨一個で過ごすハメになりました


古くから相撲部屋の世界では食事を取る順番が親方→横綱→その他関取→幕下以下と決まっているそうです

もちろん大食いの集まる相撲部屋ですから、番付が下の人間が食べるころにはすっかり中身が無くなってしまい、

最後の人間は鍋に残ったスープだけしか食べられない時もあるとか


それを考えれば会社という世界は相撲部屋に入門したような治外法権っぷりですからこの扱いも仕方ないと、

どんなにひどい虐待を受けても横綱からの可愛がりとして「ごっちゃんです!」とお礼を言うくらいの

辛抱をしないと僕も立派な横綱にはなれないぞと枕を涙で濡らした夜もあったほどです


ところで本日その横綱のPCがぶっ壊れたらしく、PC直し係の僕が呼ばれることになりました

調べてみるとPC内の部品が破損しており、HDDにものすごい圧力が掛かっているようでした

僕はイライラとしながらも愛想笑いを浮かべて彼女に不調原因を説明します


この行動が命取りになるとも知らずに・・・


PCと言うのは不思議なもので部品やその他は完全に機械なのですが長く使ってると愛着が湧いてきます

だからなのでしょうか、PCの動作に関する出来事に関してもまるで人間がしたことのように表現する

機会が多くあります


たとえばPCがフリーズしたときに言われる「固まった」

たとえばPCのデータが飛んだときに言われる「お亡くなりになった」

たとえばPCの挙動が遅いときに言われる「 重 い 」・・


もうお分かりでしょうか?僕はこの場で致命的なミスを犯しました 決して悪気はないのに・・・

ちょっとPCが遅い様子を分かりやすいように説明しただけなのに・・・


その後のことについてはあまりよく覚えておりません


だけど心に染みて思ったのは圧力を受けると動きが悪くなるのは人も機械も一緒だなあという事と

擬人化も時と場合を考えて使わないと身を滅ぼすなあ、という教訓でしたとさ

(おしまい)