ヨコハマメリー



”ハマのメリーさん”のお話を知っていますか?

昔よく噂を聞いてたので興味はあったのですが、

先日その生涯を題材にした映画をやっていました


映画「デスノート」で八神幸子役を演じていた

五代路子さんがライフワークとする芝居の一つに

「横浜ローザ」というモノがあります


この芝居は横浜の伊勢佐木町を根城にしている

ある娼婦の全生涯を一人芝居にしたものです


芝居の中で五代さん演じる娼婦の名は「横浜ローザ」

しかし足を運んだ観客は、誰もが「横浜ローザ」の

本当の名前を知っています


終幕後、主演の五代さんに掛けられる声援は

「五代さん!」でも「ローザ!」でもなく


「メリーさん!」


だったそうです


横浜の人ならば一度は聞いた事のある「メリーさん」、

彼女は終戦直後から横浜の伊勢佐木町で米軍相手に

体を売って生計を立ててきた娼婦です


なぜ彼女がここまで地元で有名になったかと言うと

まずは白く顔を塗り固めたその奇妙な風体

(彼女の風体に関しては上のDVDそのままです)


そして70過ぎの老婆になってからも毎日同じ場所で

「お仕事」を探していたその生き様からです


実際12,3年くらい前、有隣堂隣の地面に座り込み

日がな一日ジッとしているその奇妙な老婆の姿を

僕も何度か見かけた事があります


「夜中に商店街を通ると無理やり○される」

伊勢佐木町の白い化粧をした婆さんは実は

脳○○だから近づかない方が良い」


などの悪意のある噂も聞いた事があります


実際に彼女が毎日通っていたお気に入りの喫茶店では

「同じコップを使いたくない」と言う客もいたそうです


その店主は仕方なく豪華なコップを一つ買って来て

「メリーさんに相応しい素敵なコップを用意しました」

と伝え、以後そのコップをメリーさん専用にしたとか


確かに彼女の仕事は人様に誇れるモノではありません

しかし戦後すぐの日本というのは生きていくために

どんな仕事でもやらなければいけなかった時代です


もちろんモノのありふれた時代にぬくぬくと育った

僕の様な人間が彼女の人生を推し量る事は出来ません


しかし映画の最後に出てきた老人ホームで余生を過ごす

あの真っ白い化粧を取った彼女の本当の笑顔を見て、

そして舞台「横浜ローザ」の最後に観客から寄せられた


「メリーさんありがとう!よく生きたね!」


という歓声を聞いて、あの有燐堂隣の老婆を見て感じた

自分の勝手で汚い心と想いを恥じました


この映画は2006年に公開された「ヨコハマメリー

という映画です


語られたメリーさん、そしてメリーさんについて語った

永登元次郎さん、広岡敬一さん、杉山義法さんの三人は

映画の公開される直前に次々に亡くなられました


28年生きて来て、最近生きてく事に慣れた気がしてたけど

「生き抜いて」いく事の凄さと大切さを痛切に感じさせられた

色々と考えさせられる映画でしたとさ



オチがなくてすんません・・・